ポスティングチラシを広めた活版印刷の歴史について解説

現在、普段印刷を行う際に利用されるのは、コピー機などデータからそのまま印刷できるものが主流となっています。

印刷にかかる時間も短く、その場で複合機から吐き出されるのが当たり前で、チラシなどの大量の印刷物を外注したとしても、手配をしてから1~2日ほどあれば簡単に出来上がってしまいます。

しかし、1970年頃までは「活字」と呼ばれる鉛にインクを転写して制作していく方法が主流だったため、印刷には大変な労力と時間がかかっていたのです。

その方法は活版印刷と呼ばれ、現在の印刷産業の原点とも言える技術で、ポスティングの発展にも大きく寄与しています。

今回は、ポスティングチラシを広めた活版印刷の歴史について解説していきます。

ポスティングチラシを広めた活版印刷とは

ポスティングチラシを広めた活版印刷とは、古くから伝わる「活字」と呼ばれる鉛を利用して印刷する方法です。

仕組みはハンコと同じで、いたってシンプルです。

具体的には鉛でできた「活字」を1つ1つ組み合わせ、組み合わせた活字にインクをつけて紙に転写するといった方法です。

転写する際、文字部分の活字を強く押し当てることによってインクが紙に浸透し文字になるという仕組みのため、文字部分に若干凹凸が浮かび上がります。

そのため読むだけでなく、転写した際に出来上がった凹凸部分を手で触ったりして感触も楽しむことができます。

現在のデータ入稿による印刷では再現することのできない凹凸は活版印刷の味わいを感じられるポイントの1つです。

また紙に転写させる際に、版につくインクの量にバラつきがあるため、完成した作品1つ1つに個性が出るのも特徴です。

1つ1つの作品に個性があることによって、現在の大量制作物にはないようなプレミア感を演出することができます。

そのため、効率のいい印刷技術が一般的になった現在でも、結婚式の案内状など、特別なタイミングでは使用されることがあります。

例えば結婚式などのめでたい場面であれば、思い出に残るような特別な仕様にしたいといったニーズもあるため、効率コストがかかっても活版印刷を利用したいという人もいます。

版を押し付けるという特別な手法なので、印刷機には入らないような定形外の和紙などにも印刷ができるため、根強い人気を誇っています。

この活版印刷を活用することで大量に複製可能となり、大正時代にチラシやビラと言われる広告媒体が誕生したというポスティングチラシの歴史についても紹介しています。

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ポスティングチラシを広めた活版印刷の歴史

活版印刷は、11世紀頃に中国で使用された形跡はあるものの、大きくは発展しませんでした。

中国は漢字圏であるためアルファベットなどと比べるとそもそもの文字数が多いため、あまり定着しなかったようです。

そのため現在につながる活版印刷を発明した人は、15世紀頃のドイツの金属加工技術者「ヨハネス・グーデンベルク」という説があります。

活版印刷が発明されるまでは、全て手作業によって書籍などが制作されていた時代ですので、活版印刷の発明は羅針盤、火薬と並び「ルネサンス三大発明」と言われるほど大きなものでした。

活版印刷は瞬く間に印刷産業の中心となり、産業革命など時代の変化によって、さらに大量生産が実現可能になります。

日本における活版印刷は1856年に長崎で行われたと言われており、その後発行部数の増加などで幕末や明治時代初期頃から活版印刷が主流になっており、書籍や新聞や雑誌などの制作に用いられてきました。

しかし、1970年後半あたりからオフセット印刷が主流になり、活版を製造するメーカー撤退や活版を作成する職人の高齢化に伴い、年々減少していってしまいます。

オフセット印刷は版と印刷物が直接触れ合わず、中間転写体と呼ばれるゴムなどに転写するのが特徴で、活版印刷と違い版を作成する際の手間が少なく、鮮明な色合いも再現できたため、瞬く間に主流の印刷手法となりました。

しかしそんなオフセット印刷も1980年代中頃からは他の印刷手法に主役の座を奪われます。

その印刷手法は皆さんご存知インクジェット印刷です。

インクジェット以降はデジタルで入稿されたデータから直接印刷ができるようになっているため、そもそも版を作成する必要すらなくなりました。

こうして活版印刷は大量印刷の手法としては衰退していきましたが、全て機械によって最適化されている手法が主流だからこそ、「レトロな味わいが感じられる昔ながらの手法」として一定のニーズを保っているのです。

ポスティングチラシを広めた活版印刷の歴史について解説まとめ

・活版印刷は、現在主流となっているオフセット印刷が世の中に浸透する前に、制作物を大量生産するために用いられていた印刷方法です。

・活版印刷とは、「活字」と呼ばれる鉛を利用してインクを紙に転写することで制作物を生産できる仕組みのことです。

・現在では、短時間で色合いが鮮明な制作物が大量に生産できるオフセット印刷が主流になっているものの、出来上がりのレトロな味わいに今でも一定のニーズがあるため、名刺や賞状や結婚式の案内状などで利用されています。