新規顧客と既存顧客の両方から高い反響率を得るには「初頭効果」と「親近効果」を適切に使い分けることが重要です。

当記事では、消費者のニーズに応じて効果的に訴求できる「初頭効果」と「親近効果」の説明からチラシ設計への応用方法まで解説します。

新規顧客と既存顧客それぞれから反響が得られるポイントを理解し、チラシの反響率を改善しましょう。

ポスティングチラシの評判は第一印象で決まる!初頭効果とは

ポスティングチラシの反響率を高めるには、「初頭効果(Primary Effect)」を活用することが重要です。

初頭効果とは「最初に与えられた情報が第一印象としてその後の認識を左右しやすい」という心理学の用語です。

1946年にアメリカのゲシュタルト心理学者ソロモン・アッシュが提唱して以来、文章作成、広告、スピーチ、プレゼン、マーケティングなどの分野で応用されている概念です。

近年、先頭で目を引く文章や広告が増えているのは、初頭効果が活用されている事例です。

初頭効果の実験では、同一人物を表す形容詞が逆さまに並べられた文字列A、Bが用意され、形容詞を提示する順番によって人物の印象がどのように変化するかの観察が行われました。

文字列A:知的─勤勉─衝動的─批判的─頑固─嫉妬深い

文字列B:嫉妬深い─頑固─批判的─衝動的─勤勉─知的

実験の結果、被験者はAを「有能であり、若干の欠点を抱えている人物」と評価し、Bを「性格に難があり、能力はあっても問題のある人物」と判断する傾向にありました。

この結果は、同じ形容詞の集合でも、最初に与えられた情報によって後続の形容詞の意味が異なって理解されることを示しています。

後から反対の意味の情報が提示されても、初見の第一印象に当てはまるように解釈されることから「初頭効果」と命名されました。

心理学の潮流が、個人の心理を対象とする「行動主義」から「グループダイナミクス(集団力学)」へと移行する1940年代において、初頭効果の発見は「印象形成」分野の確立に繋がる重要な業績であり、今日においてもソロモン・アッシュは実験社会心理学の開拓者に数えられています。

さらに1968年に「記憶の二重貯蔵モデル(長期記憶と短期記憶の二重構造)」が明らかになると「初頭効果」は長期記憶との関連から説明され、「最初に提示された情報は、意識の中で繰り返し後続の情報と照合されるため短期記憶から長期記憶に移行しやすい」という説が有力になります。

その後も、1984年のワトキンスとペイニルジオウルの実験で初頭効果の起こりやすさに個人の経験や周囲の評判に基づく「先入観」が関与することが判明するなど、初頭効果に関する理論モデルの研究は現在も続いています。

最後にポスティングチラシの評判を決める親近効果もある

ポスティングチラシの訴求効果を左右する条件として「親近効果」を理解することも重要です。

親近効果とは「最後に提示された情報が意思決定に影響を及ぼしやすい」という理論のことで、初頭効果と矛盾しているように思えますが、同じ「記憶の二重貯蔵モデル」に準じた認知の仕組みです。

「終わり良ければすべて良し」のように、接客業で店員にミスをされても謝罪が丁寧だったり失敗を挽回するようなサービスがあると、不快感が上書きされてしまうのは親近効果の好例です。

親近効果は、人間の印象形成を研究したアメリカの心理学者ノーマン・ヘンリー・アンダーソンによって1976年に提唱された理論です。

実験では、模擬裁判を行い、弁護側・検察側の主張としてA、Bの2パターンが用意され、主張の順序によって陪審員の判断がどう変化するかが観察されました。

A:弁護側2証言→検察側2証言の順で、交互に2個ずつ3回繰り返し、計6個の証言を提出

B:弁護側6証言→検察側6証言の順で、1度に6個の証言を提出

実験の結果、A、Bどちらのケースでも最後に証言をした方に有利な判決が下ることが観察されました。

この結果から、複数ある情報のうち最後に与えられた情報が意思決定に影響を及ぼしやすいことが立証されます。

最後の情報が記憶に残りやすい現象や「親近効果(Recency Effect)」は、ドイツの心理学者エビングハウスによる1885年の記憶実験の頃から報告されていましたが、1976年に印象形成の分野で初めて立証したのがアンダーソンの功績です。

1964年には認知的複雑性の低い人物ほど親近効果が現れやすいというメイヤーとクロケットの研究が報告され、物事を多元的に見る能力の高低に応じて初頭効果と親近効果の現れ方に差が出ることが明らかになりました。

脳の記憶構造に依拠すると、「短期記憶のメモリは記憶容量が小さく情報が次々に上書きされるため、想起しやすい最新の情報ほど意思決定の材料として使われやすい」という説が有力です。

以上のように「初頭効果」「親近効果」とは、情報の最初と最後が意識に影響を与えやすいという原則のことで、ビジネスの場や広告宣伝などに広く応用されています。

そのほか、一見、無関係な画像でも並べて表示することで、人に与えるイメージに変化が起こることなど、ポスティングチラシに活用できるイメージ効果について紹介した記事もあります。

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初頭効果と親近効果をポスティングチラシに活かす方法

初頭効果と親近効果は矛盾する原則ではなく、共に記憶のメカニズムに立脚しています。

両方の原則を使いわけながら、新規顧客と既存顧客のそれぞれにアプローチできるポスティングチラシの作り方を解説します。

・初頭効果は新規のターゲットに活用する
・親近効果は既存顧客に活用する

初頭効果は新規のターゲットに活用する

新規顧客は商品・サービスに対する関心が低いため、初頭効果でポジティブな第一印象を与えることで、チラシの末尾まで目を通されやすくなります。

第一印象が形成されるまでの時間には諸説あり、対人関係では3秒~5分ですが、物の認識では1秒前後だと考えられています。

そのため、実績・スペック・メリット・特典など、第一印象でインパクトを与えるための重要情報を先頭のキャッチコピーに記載します。

商品・サービスにマイナス面がある場合は、短期記憶として残りにくい中盤に伝えるとマイナスの印象を軽減できます。

親近効果が発生しやすいチラシ末尾には既存顧客からの口コミを掲載し、ネガティブな口コミを前に、ポジティブな口コミを後に配置し、ここでも最後にポジティブな情報が伝わるように留意しましょう。

親近効果は既存顧客に活用する

最初からチラシへの関心が高い既存顧客には、親近効果を使った訴求が効果的です。

既存顧客は特典やセールスの情報を心待ちにしているため、高確率でチラシ末尾まで目を通してくれます。

そこで、訴求の決め手となる重要な情報を最後に配置し、先頭にはチラシを読み進めたくなるようなポジティブなキャッチを記載します。

マイナス面の情報は、初頭効果を使う時と同じくチラシの中盤に配置します。

この順序を辿ることで、顧客の興味を徐々に高めながらチラシの最後で情報のピークに到達させ、通読後に行動を起こしてもらいやすい状態を作れます。

ただし親近効果の元になる短期記憶は15秒~30秒で消失するため、チラシを読んだ顧客がアクションを起こせるようにすぐそばに電話番号やQRコードを記載し、集客・購買などの行動を促すことが重要です。

ほかにも、チラシはベース、メイン、アクセントカラーで構成でき、誠実さや温かみを与える色の組み合わせもあるため、こちらのチラシの色についての記事も参考にしてみてください。

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ポスティングチラシの評判は第一印象で決まる!初頭効果について解説まとめ

・初頭効果とは、最初に抱いた第一印象が認識の全体を左右する原則のことで、長期記憶が関与します。

・親近効果とは、最後に提示された情報が意思決定に影響を及ぼしやすい原則のことで、短期記憶が関与します。

・新規顧客に向けたチラシには初頭効果を使用し、既存顧客に向けたチラシには親近効果を使用すると効果的に訴求できます。